住まいづくりにおいては、建築主・設計者・工事管理者・施工者・行政などの連携プレーが大切です。なかでも、工事管理者は、建築主の代理として設計図書どおりに施工が行われているかを確認し、欠陥の発生を未然に防ぐとともに、関連業務として施工者選びのアドバイスや工事代金に関するチェックを行うなどの重要な役割を担います。
●工事監理の契約をしましょう
住まいづくりにおいては、建築主・設計者・工事管理者・施工者・行政などの連携プレーが大切です。なかでも、工事管理者は、建築主の代理として設計図書どおりに施工が行われているかを確認し、欠陥の発生を未然に防ぐとともに、関連業務として施工者選びのアドバイスや工事代金に関するチェックを行うなどの重要な役割を担います。
●工事監理で確認する内容を決めましょう
住まいづくりの工程は、とても複雑で広範囲です。しかし、適切な工事監理が行われれば、後々大きな補修が必要となるような致命的な欠陥を防ぐことができるはずです。ですから、どの工程の項目をどのような方法で確認するかが重要になってきます。工事管理者と十分に相談して工事監理の内容を決めましょう。
●建築主は責任ある決定を下します
住まいづくりに関する建築主の決定事項は、業者(設計者、工事管理者、施工者)の選定・契約に始まり、間取りや費用などのとても重要なことから、ドアノブやスイッチの位置などの細かなことまで数多くあります。しかし、これらの決定が業者に対する無理な要求であったり、反対に業者に任せきりの状態のものであっては、住まいづくりを成功させることは困難です。住まいづくりに関する決定は、建築主が自ら、責任を持って行いましょう。
●良い住まいへの第一歩は設計図書で決まります
工事監理や施工は設計図書に基づいて行われるので、設計図書には住まいづくりに必要な情報が書かれていなければなりません。ですから、設計図書の作成は信頼できる建築士に依頼し、できるだけ詳細な部分まで具体化しておきましょう。
●施工者は施工を管理します
施工者は、設計図書どおりの住宅を工事請負契約書に定められた工期と金額で建てなければなりません。そのために、施工管理者としての現場監督を中心に施行の品質、工程の進捗状況、専門業者の管理を行います。
●行政(または民間確認検査機関)が建築基準法でチェックします
設計図書の段階で「建築確認」、工事の段階で「中間検査」と「完了検査」が行われます。
近年、施工不良などが原因で生じる欠陥住宅に関するトラブルが、大きな社会問題となっています。せっかく苦労して手に入れた、人生の中で最も大きな買い物であるあるマイホームに重大な欠陥があっては大変です。そこで、マイホームの工事全体について、建築士の資格を持った専門家がきちんとチェックすること、すなわち「工事監理」が重要になっています。
●工事監理を見直しましょう!
住まいづくりでは、建築主が建築士である工事管理者を定めなければならないことになっています。しかしながら、これまでは適切な工事監理が行われないことがありました。工事監理が適切に行われていれば、防ぐことができた欠陥住宅などの被害がたくさんあったはずです。今、豊富な専門知識と経験を持つ工事管理者の役割が重要になっています。
この例は在来工法の木造戸建て住宅について、設計図書に通常記載されている内容を前提として、数ある施工工程の中から特に重要な工事監理のポイントをまとめたものです。
▲・・・・・特約業務
●・・・・・建築主の立会、確認が望ましい項目
確認の時期と内容 | 備考 |
---|---|
工事期間全般 | |
◆設計意図を施工者に伝えるための業務など | |
・施工者との打ち合わせおよび協議 | |
1.着工前 | |
◆建築主との工事監理実施計画の協議等 | |
・工事監理実施計画の協議 | ● |
・工事監理実施計画書の作成 | ● |
◆設計意図の把握等のための業務 | |
・設計図書の確認 | |
・設計図書の内容の調査 | ▲ |
2.着工時の確認 | |
◆着工時の敷地、建物位置および高さ | |
・敷地形状、境界の確認 | ● |
・方位の確認 | |
・建築物の敷地内の位置のの確認 | ● |
・全面道路中心線からの地盤面の高さの確認 | |
◆地耐力 | |
・データの出所の確認(設計図書に地盤調査書が添付されていない場合) | |
・設計地耐力と実際の地耐力の確認 | ▲ |
・試堀 | ▲ |
3.基礎配筋時・基礎完了時の確認 | |
◆地業 | |
・地業、形状、寸法、配置の確認 | |
◆基礎配筋 | |
・基礎形状、寸法、配置の確認 | |
・基礎配筋・床下換気口周り等の補強の確認 | |
・鉄筋・アンカーボルトの材質の確認 | |
・アンカーボルトの位置・本数の確認 | |
◆床下換気と床下防湿 | |
・床下換気口又はひれに代わるものの確認 | |
・床下防湿方法の確認 | |
4.屋根荷重が構造躯体にかかった時点の確認 | |
◆土台 | |
・アンカーボルトの緊結および継手等の確認 | |
・土台の品質・樹種・形状・寸法の確認 | |
◆耐力壁の壁量 | |
・耐力壁の位置・長さ・規格の確認 | |
◆構造材(柱・横架材、小屋組等) | |
・品質・樹種・形状・寸法の確認 | |
・構造耐力支障のある断面欠損の有無の確認 | |
◆筋かい等 | |
・配置、品質・樹種・形状・寸法の確認 | |
・構造耐力上支障のある断面欠損の有無の確認 | |
・代換工法(構造用合板等)の場合の確認(特に設計図書に記載がある場合) | |
◆接合方法(継手・仕口) | |
・接合部、継手・仕口の確認 | |
◆使用接合金物 | |
・使用接合金物の確認 | |
◆構造用木材の含水率 | |
・構造用木材の含水率の確認(特に設計図書に記載がある場合) | |
◆建物の高さの再確認 | |
・道路斜線・隣地斜線・北側斜線の照合 | |
5.仕上げ前の下地の確認 | |
◆軒裏、外壁 | |
・防火上の措置の確認 | |
◆壁体内結露防止対策 | |
・壁体内結露防止対策の確認 | |
◆屋根(バルコニー)・外壁・防水・開口部・シーリング状況 | |
・屋根(バルコニー)下地材料・形状の確認 | |
・外壁・防水・開口部・シーリング状況の確認 | |
◆軸組の防腐・防蟻処 | |
・軸組の防腐・防蟻処理の確認 | |
6.設備類の確認 | |
◆設備類 | |
・排水管の排水状況の確認 | |
・排気管の排気状況の確認(室内の煙突工事を伴う場合) | |
7.工事完了の確認 | |
◆開口部 | |
・防火設備の種類の確認 | |
◆シーリング状況 | |
・シーリング状況の確認 | |
◆設計内容の最終確認 | |
・設計図書との照合 | |
◆不具合工事の有無 | |
・不具合工事の有無の確認 | ● |
◆官公庁等の検査 | |
・官公庁等の検査の立会い | |
8.工事監理業務完了手続き | |
◆工事監理業務完了の手続 | |
・工事請負契約の目的物の引渡し立会い | ● |
・工事監理報告書等の提出 |